2018年2月、国道8号。1,500台が動けなくなりました。

福井県のBCP(事業継続計画)── 県内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。

2018年2月。福井では、2月5日18時からの24時間で65センチの降雪となりました。福井市では37年ぶりの記録的な積雪となり、最大積雪深は147センチでした。大野市九頭竜では301センチを記録しています。

国道8号では、大型車1台の脱輪をきっかけに滞留が拡大し、最大で約1,500台の滞留が発生し、通行規制の解除は2月9日午前5時でした。

その間に起きたのは「雪かきが大変」ではありません。JRと地域鉄道の運休。北陸自動車道・中部縦貫自動車道の通行止め。灯油とガソリンの不足。そして企業の休業です。

あなたの会社の建物は、あの雪でも壊れなかったはずです。

それでも、売上は止まらなかったでしょうか。 従業員は出勤できましたか。配送は着きましたか。燃料は足りましたか。

福井のBCPは、建物の話ではなく、道路と燃料と人の話から始まります。

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福井県のリスク

1. 嶺北 —— 福井平野の内陸地震と、雪と、分業製造

1948年の福井地震(M7.1)では、3,728人の方が亡くなり、全壊は35,382戸にのぼりました。内陸直下の都市災害でした。この地震のあと、気象庁は震度7を新設しました。また2018年2月の豪雪では、県内で12人の方が亡くなり、農業用ハウス等の被害が1,030棟に上っています。心より哀悼の意を表します。

県内と県境には、福井平野東縁断層帯をはじめ、柳ヶ瀬-関ヶ原断層帯、野坂断層帯、集福寺断層、三方断層帯・花折断層帯などの活断層帯が分布しています(地震調査研究推進本部)。

国の評価の区分は、被害の大きさを意味しません。 順番も、可能性の高い順には来ません。

そして2024年1月の能登半島地震では、あわら市で震度5強、福井市と坂井市で震度5弱を観測しました。県内でも液状化や、水道管の破断による断水が発生しています。震源が県外でも、嶺北は揺れます。

県内の主要活断層帯(国の長期評価)

地震調査研究推進本部は、主要活断層帯で起こる地震の発生確率を相対的な高さで区分しています。県内では、次の活動区間が最も高い区分(Sランク)にあります(2026年1月1日算定)。

この区分は、発生時期や個々の事業所の被害を予測するものではありません。国の評価の区分は、被害の大きさを意味しません。区分が低い断層でも地震は起こり、国は「ランク分けに関わらず、どの場所でも強い揺れに見舞われるおそれがある」と注記しています。自社の所在地と断層帯の位置関係は、県の被害想定と国のハザードマップで確かめてください。

断層の評価は定性表現で示しています。国(地震調査研究推進本部)は今後30年以内の地震発生確率が3%以上を「Sランク」と表記し、地震後経過率(前回の活動からの経過時間を平均活動間隔で割った値)が0.7以上の活断層には、ランクに「*」を付記しています。同じ表に載る高山・大原断層帯 国府断層帯・阿寺断層帯 主部(北部)は岐阜県、森本・富樫断層帯は石川県、琵琶湖西岸断層帯 北部区間は滋賀県、養老-桑名-四日市断層帯 北部区間は岐阜県・三重県、養老-桑名-四日市断層帯 中部区間は三重県に位置するため除いています。出典: 地震調査研究推進本部「福井県の地震活動の特徴」(2026年1月1日算定)/同「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)注3

自社で確認すること: 拠点、倉庫、従業員の自宅、取引先、配送の経路を、断層帯の分布と重ねる。県平均ではなく住所で。

2. 嶺南 —— 若狭湾の地震・津波と、広域避難と、敦賀港

若狭湾の付近を震源とする地震のほか、日本海中部地震の津波は福井県沿岸にも襲来しています。

原子力防災については、高浜・大飯・美浜・敦賀の各地域で緊急時対応が整備されており、重点区域の住民が30キロ圏外へ避難するための避難先・ルート・輸送手段が定められています。令和7年度には、美浜地域のPAZ・UPZ の全市町(美浜町、敦賀市、若狭町、小浜市、南越前町、越前市、越前町)で広域避難訓練が実施されました。

事業者に求められるのは、放射線防護の独自の判断ではありません。 国・県・市町の指示に従って従業員と来訪者を守り、停止・連絡・再開を実行できる状態にしておくことです。

敦賀港は、令和6年のコンテナ取扱量が88,029TEU、海上出入貨物が約1,841万トン、フェリーの乗降車両が134,923台。北陸と関西・北海道をつなぐ結節点です。

港が無事でも、道路・運転手・荷役・受入先のどれか一つで物流は止まります。

自社で確認すること: 公的な指示が出たときの、停止・連絡・再開の手順を誰が持つか。

3. 全県共通 —— 雪と、豪雨・土砂

雪は毎年来ます。問題は「毎年の雪」と「2018年級」の違いです。 除雪の能力を超える降り方、滞留、そして燃料。この3つが揃うと、平年の手順は効きません。

2004年の福井豪雨では、土石流が発生し、山間の集落が避難しました。足羽川では洪水災害が発生しています。県は災害関連緊急砂防事業33か所、砂防激甚災害対策特別緊急事業50か所などの対策を実施しました。

企業から見れば、本社より先に、従業員の自宅と「最後の数キロ」の道路が止まります。

2026年8月27日からの大雨により、福井市、大野市、勝山市、あわら市、坂井市、永平寺町に災害救助法が適用されました。8月30日には、福井県にレベル5大雨特別警報が発表されました。

この大雨で被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

自社で確認すること: 仕入先・配送路・従業員の自宅を、河川ではなく道路の被害と重ねる。

「無傷でも止まる」福井の実話

AIで生成したイメージ画像。雪の田園に建つ工場と幹線道路。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

2018年豪雪 —— 建物は無事、商売は停止

止まったのは建物ではありません。

道路(国道8号・北陸自動車道・中部縦貫自動車道)、鉄道(北陸本線・越美北線・地域鉄道)、燃料(灯油とガソリンの不足)、人(出勤不能)、そして配送でした。

企業の休業は「被災」ではなく「停止」として発生しました。

雪が解ければ建物は元どおりです。しかし、失われた営業日、キャンセル、納期の遅延は戻りません。

BCPに翻訳すると、次の4つになります。

  1. 無理な出勤と配送を止める基準。
  2. 運転手の安全(食料・水・トイレ・連絡)。
  3. 燃料の用途別の在庫(暖房・発電機・車両・フォークリフト・除雪機)。
  4. 休業と縮小の判断権限。

2024年1月の経験

2024年1月1日の地震では、津波警報が発表され、県内では避難所が開設されました。鉄道は全区間で運転を再開し、高速道路の通行止めも解除されました。県内でも、宿泊施設の漏水や建物のひび割れ、壁や天井の一部崩落などの被害が報告されています。

直接の被害が大きくなくても、警報の発表、避難所の開設、交通の停止と再開は、その日の事業を止めます。連絡・停止・再開の手順を、平時に決めておいてください。

二つの読者へ

三つの数字は、別のものです

何の数字か 福井県の値 読み方
事業継続力強化計画の累計認定 1,000件を超える(令和8年7月末時点) 国の制度の認定実績。策定率ではありません
BCP策定意向あり 48.5%(2026年5月・TDB) 策定済み・策定中・検討中の合計です
県調査による策定済み率 9.8%(中小7.5%・小規模4.3%) 令和元年度の調査(n=2,149)。時点が古く、上の2つとは別のものです

TDBの調査は全国の企業を対象とした標本調査で、県別の値は回答した企業の集計です。県内の全企業の推計ではありません。

まだ策定していない会社へ —— 雪かきと同じで、後回しになる

令和元年度の県の調査で、策定済みは9.8%。小規模事業者では4.3%でした。

一方、2026年のTDB調査では、福井県の約半数の企業に策定の意向があります。

つまり福井で足りていないのは、危機感ではありません。着手の仕組みです。

未策定の理由は、全国の調査で「スキル・ノウハウがない」42.2%、「人材を確保できない」33.5%、「時間を確保できない」28.1%。県の調査でも、規模が大きくなるほど策定率が高くなる傾向が示されています。規模による実行余力の差が壁になっています。

だから、完璧な計画書からは始めません。「大雪の前日に何を決めるか」「警報が出たら誰が止めるか」から始めます。

そして雪は毎年来ます。福井のBCPは、毎冬、本番前のリハーサルができます。

計画はあるが動かない会社へ —— 2018年の雪で、その計画は動いたか

3つ、点検してみてください。

  1. 計画の想定災害の欄に、「豪雪」はありますか。国道8号が2月6日から2月9日まで止まった想定はありますか。
  2. 公的な指示が出た場合の停止・連絡・再開は、書いてありますか。
  3. 工程別の代替可否を表にしましたか。眼鏡や繊維のように分業で成り立つ産業では、自社の計画があっても、金型・表面処理・検査・包装の一社が止まれば納期は止まります。

県の地域防災計画は、2018年の豪雪のあとも改定を重ねています。会社の計画だけ、その前のままになっていませんか。

地元の支援資源

2026年8月27日からの大雨で影響を受けた事業者の方へ。福井県の支援策や相談窓口は、福井県の案内をご確認ください。

資源 内容
福井県「BCP(事業継続計画)について」 県内企業の調査、セミナー、事業継続力強化計画を案内しています。BCP・事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業者向けに、被災時の被害を抑え早期復旧の資金調達を円滑にする福井県BCP対策支援資金があります。条件は年度により異なります
福井商工会議所 県の事業継続力強化支援計画の認定を受けた商工団体です
福井県商工会連合会 BCP策定の支援を行っています
事業継続力強化支援計画 県内の商工会・商工会議所が市町と共同で、小規模事業者の事業継続力強化を支援する枠組みです
事業継続力強化計画 経済産業大臣が認定する国の制度です。認定により税制措置、金融支援、補助金審査上の加点があります

BCP-AIは、支援機関の代わりではありません。面談やセミナーの前後を埋める、毎日の実行と見直しの道具です。

事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。

AIで生成したイメージ画像。拡大鏡のある作業机と小型の加工機が並ぶ工房。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

次の大雪は、今年の冬に来ます。準備の締め切りは、初雪の前です。

地震、雪、そして広域避難。三つの計画を別々に作る必要はありません。止まり方から考えれば、一つの表になります。

BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。

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