道南 —— 本州との結節点が細くなる
青函の便が止まった日、あなたの仕入れは何日分もちますか。
函館・渡島・檜山は、本州と北海道を結ぶ結節点です。海峡を渡る便(鉄道・フェリー・トラック)が止まると、道外との出入りが同時に細くなります。
日本海溝の想定は太平洋側の沿岸に及び、日本海側についても2025年6月の想定が出ています。道南は、両方の想定に接する地域です。
自社で確認すること: 本州との輸送手段を、鉄道・フェリー・トラックのどれか一つに依存していないか。代替の便と所要日数。
北海道のBCP(事業継続計画)── 道内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。
——あれから8年。あなたの会社の計画は、あの朝に耐えられますか。
最大で約295万戸が停電し、概ね全域の復旧までに約45時間を要しました。
信号機が止まって長距離トラックが動けなくなり、貨物列車が運休しました。収穫期のジャガイモと玉ねぎは出荷できず、生乳は廃棄されています。
揺れたのは胆振。止まったのは全道でした。
2018年、北海道は日本で初めてのブラックアウトを経験しました。
電力広域的運営推進機関の検証委員会は、電力需要が高まる冬を目前に原因の究明と再発防止策を急ぎました。対策(北本連系線の増強、石狩湾新港LNGなど)は進みましたが、大規模地震のときの広域停電のリスクがゼロになったわけではありません。
停電は「照明が消える」ことではありません。 水・通信・冷蔵・決済・信号機・物流へ広がる連鎖です。
自社で確認すること: 非常電源で守る対象と、その持続時間。
内閣府が2021年12月に公表した想定では、冬・深夜の最悪のケースで、日本海溝モデルの死者は全国で約19万9,000人、そのうち約13万7,000人が北海道です。千島海溝モデルでも最大で約10万人。全国の被害想定で唯一、「低体温症要対処者」が推計されており、日本海溝で約4.2万人、千島海溝で約2.2万人とされています。また日本海側についても、2025年6月に公表された道の想定で、全壊は最大で約1万6,000棟(冬)、死者は最大で約7,500人(冬・深夜・早期避難率が低い場合)とされました。全壊と死者は、最大となる断層モデルが異なります。
国の想定そのものが「冬・深夜」を最悪の条件に置いています。冬のリスクは仮定ではなく、公式の想定の前提条件です。
従業員の避難が完了したら終わり、ではありません。 避難した後の暖房、乾いた衣類、燃料までが初動です。
北海道は2022年7月に市町村別の被害想定を公表し、減災の目標を掲げています。耐震化と避難によって、被害は大幅に減らせるとされています。 所在地の単位で確認することが前提になります。
地震調査研究推進本部は、主要活断層帯で起こる地震の発生確率を相対的な高さで区分しています。道内では、次の活動区間が最も高い区分(Sランク)にあります(2026年1月1日算定)。
この区分は、発生時期や個々の事業所の被害を予測するものではありません。国の評価の区分は、被害の大きさを意味しません。区分が低い断層でも地震は起こり、国は「ランク分けに関わらず、どの場所でも強い揺れに見舞われるおそれがある」と注記しています。自社の所在地と断層帯の位置関係は、道の被害想定と国のハザードマップで確かめてください。
断層の評価は定性表現で示しています。国(地震調査研究推進本部)は今後30年以内の地震発生確率が3%以上を「Sランク」と表記し、地震後経過率(前回の活動からの経過時間を平均活動間隔で割った値)が0.7以上の活断層には、ランクに「*」を付記しています。出典: 地震調査研究推進本部「北海道中部 (宗谷、上川、留萌、石狩、空知、胆振(苫小牧市より東)地方)の地震活動の特徴」および「北海道南西部地域 (後志、渡島、檜山、胆振(苫小牧市以西)地方)の地震活動の特徴」(2026年1月1日算定)/同「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)注3
自社で確認すること: 避難した後の防寒(乾いた衣類・毛布)を、誰がどこに置いてあるか。
令和4年2月の札幌圏の大雪では、人的被害がなくても大規模な交通障害が起き、道内外の人流と物流に影響が出ました(道の検証)。
この災害の本質は、発災の当日ではありません。 除排雪の遅れ、配送と荷役の制約、燃料と原材料の遅延が、数日の単位で続くことです。
自社で確認すること: 休業・在宅・配送停止を「早く」決める基準を、誰が持つか。
道外との輸送は、港湾・空港・鉄道・フェリー・トラックに依存しています。
食品工業は道内の製造業出荷額の41.3%(約2兆8,022億円・2023年)を占め、冷蔵・燃料・集荷への依存度が高い産業です。
火山(有珠山・樽前山・十勝岳など)、洪水、土砂は地域が限られますが、道路の寸断を通じて広域の物流に波及します。
自社で確認すること: 道外への出口(港・空港・フェリー)が一つ止まったときの代替。
北海道は、一つの県ではありません。 面積も、産業も、止まり方も地域で違います。自社がどの地域にあるかで、最初に書くべき1枚が変わります。
4区分は実務上の目安です。実際の計画は、事業所・倉庫・取引先・配送経路の市町村単位で確認します。
青函の便が止まった日、あなたの仕入れは何日分もちますか。
函館・渡島・檜山は、本州と北海道を結ぶ結節点です。海峡を渡る便(鉄道・フェリー・トラック)が止まると、道外との出入りが同時に細くなります。
日本海溝の想定は太平洋側の沿岸に及び、日本海側についても2025年6月の想定が出ています。道南は、両方の想定に接する地域です。
自社で確認すること: 本州との輸送手段を、鉄道・フェリー・トラックのどれか一つに依存していないか。代替の便と所要日数。
あの朝、御社では何が止まりましたか。
札幌・石狩・胆振は、2018年のブラックアウトの起点であり、被害が最も具体的に記録された地域です。そして令和4年2月の札幌圏の大雪も、この地域の交通障害でした。
人口と物流と決済が集中しているため、停電と大雪のどちらでも、影響が道内の他地域へ広がります。 有珠山と樽前山も、この圏域にあります。
2025年12月と2026年4月には、青森県東方沖・三陸沖の地震のあと、道内にも「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表され、1週間の特別な注意が2度呼びかけられました。2026年1月下旬には札幌圏の記録的な大雪で、道央の鉄道が2日間にわたり止まり、新千歳空港では多くの人が足止めされました。建物が壊れなくても、事業が止まる日は増えています。
自社で確認すること: 停電・大雪の両方で、非常電源が何を何時間守るのか。取引先が道央に集中していないか。
除雪が届くまでの日数を、在庫日数で言えますか。
旭川・留萌・宗谷では、暴風雪による交通の途絶が起きます。支援も除雪も、届くまでの距離がそのまま時間になります。
宗谷地区には広域の港湾BCPが整備されています。港の側は計画を持っています。持っていないのは、港を使う側の企業です。
道北は日本海側にも面しており、2025年6月に公表された日本海側の想定の対象に含まれます。冬の暴風雪と、冬・深夜条件の津波想定が、同じ地域に重なります。
自社で確認すること: 暖房燃料の備蓄日数。孤立が数日続いたときの、食料・通信・現金。
冷蔵が止まった時間は、そのまま損失になりませんか。
釧路・根室・十勝・オホーツクは、千島海溝の想定が最も直接に及ぶ地域です。低体温症の推計が示すとおり、避難した後の防寒が初動に含まれます。
同時に、この地域は一次産業と食品工業の集積地です。2018年に生乳が約2万トン廃棄され、被害額は約24億円にのぼりました。冷蔵・搾乳・集荷は、停電に対して時間の猶予がありません。
自社で確認すること: 冷蔵・搾乳・集荷が何時間まで耐えられるか。十勝岳の影響範囲に自社の経路が入るか。
震源から離れた地域も含め、道内のほぼ全域・約295万戸。
建物は無傷でも、冷蔵・搾乳・決済・信号機が同時に止まりました。
信号機の停止で長距離トラックが止まり、貨物列車が運休しました。収穫期のジャガイモと玉ねぎが出せず、乳業工場の停止で生乳が滞留します。
廃棄された生乳は全道で約2万トン、被害額は約24億円でした(防災白書)。
建物の被害がほとんど無い宿にも、キャンセルは届きました。
発災から10日余りで、宿泊のキャンセルは全道で延べ約94万人泊、交通・飲食を含む観光全体の影響額は約292億円にのぼりました(道の調査・2018年9月18日 知事会見)。最終的な観光被害は約356億円に達しました(道の集計)。
あの朝、御社では何が止まりましたか。
次に同じ朝が来たとき、最初の3時間で誰が何を決めるかは、もう紙になっていますか。
経験していない会社——2018年より後にできた会社や、道外から進出した会社——なら、なおさら記録で備える必要があります。
全国の策定率が21.4%だった年に、北海道は19.1%へ下がりました。
帝国データバンク 北海道版(2026年7月23日公表・調査は2026年5月18〜31日)の調査で、北海道は前年比1.6ポイントの低下です。この値は道内902社を対象に444社が回答した調査値であり、道内の全事業所の推計ではありません。
規模による差も大きく、帝国データバンクの全国調査(2026年)では大企業の39.9%に対し、中小企業は18.3%。未策定の理由はスキル・人材・時間の不足です(同調査)。意識の問題ではなく、経営資源の問題です。
ブラックアウトを経験した地域の策定率が、経験していない全国平均を下回っています。 理由は危機感の不足ではなく、時間の不足のはずです。
最初の一歩として、BCP-AIで初版を作るところから始められます。
その計画に、冬版はありますか。
国の巨大地震の想定は「冬・深夜」を最悪の条件に置き、避難した後の低体温症まで公式に推計しています。停電・断水・避難の想定が夏の基準のままなら、北海道では計画の半分しかできていません。
冬版の点検項目は5つです。
非常電源は、何を・何時間守るために回しますか。 2018年の胆振東部で、実際に判断を迫られた項目です。
訓練まで進めるなら、北海道経済産業局の「訓練企画シート」(2026年1月公表)が使えます。BCP-AIで作った初版を、シートを使った訓練の素材にできます。
| リソース | 内容 |
|---|---|
| 北海道版BCP策定の手引き(道・中小企業課) | 北海道特有の災害を想定した手引きです。マンガとイラスト入りで、初めての事業者向け。策定した後は「北海道内のBCP策定企業一覧」への登録の導線があります |
| 事業継続力強化計画 | 国(中小企業庁)の認定制度。北海道の累計認定は3,700件を超えています(令和8年7月末時点)。北海道経済産業局が道内の認定状況、モデル事例、訓練企画シートを公開しています |
| 事業継続力強化支援計画 | 道が認定した、市町村と商工会・商工会議所による支援体制です。広域の北海道では、「最寄りの支援機関」が明示されていることが他の地域以上に効きます |
| 北海道よろず支援拠点(北海道中小企業総合支援センター内) | 無料の経営相談です |
| 札幌商工会議所ほかのセミナー | 事業継続力強化計画とBCPのセミナーが、道内で継続的に開催されています |
BCP-AIで作った初版を持って、商工会・商工会議所や道の手引き、よろず支援拠点に相談することもできます。
事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。
冬が来る前に、冬版の初版を。
BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。
道南か、道央か、道北か、道東か。最初の1枚は、そこで変わります。