港は、2年で直った。貨物が戻るまで、20年以上かかった。

兵庫県のBCP(事業継続計画)── 県内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。

1995年1月17日、午前5時46分。マグニチュード7.3の直下地震が、神戸と阪神間、そして淡路島を襲いました。被害の総額は約9.9兆円(兵庫県推計)です。

震災の前年、神戸港は世界の主要港の一つでした。地震で岸壁は沈下し、ガントリークレーンは倒壊。1995年の取扱量はほぼ半減し、船会社は釜山などアジアの港へ航路を振り替えました。

港は約2年後の1997年に施設の復旧を終えました。しかし、いったん流出した貨物は戻りませんでした。震災前の水準に戻るまで、20年以上かかりました。

施設は直せます。しかし止まっているあいだに顧客は代替先を見つけ、取引はそこに根を張ります。「復旧」と「回復」は別のものです。 兵庫の事業者は、それを極めて高い授業料で知りました。

年月が経ち、あの朝を職場で経験した人は年々少なくなっていきます。経験を、計画に変えて残しませんか。

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兵庫県のリスク

カード1: 内陸直下地震 —— 「1.17」は活断層の地震だった

兵庫県南部地震は、六甲・淡路島断層帯で起きた内陸直下型でした(淡路島では野島断層として地表に現れました)。

この地震では6,434人の方が亡くなり、3人の方が行方不明のままです。心より哀悼の意を表します。

県内には山崎断層帯、有馬-高槻断層帯など、複数の活断層が走っています。

直下型の特徴は「揺れの強さ」と「予告のなさ」です。午前5時46分。就業前の発災で、多くの企業は安否確認の手段も出社の基準も持っていませんでした。

県内の主要活断層帯(国の長期評価)

地震調査研究推進本部は、主要活断層帯で起こる地震の発生確率を相対的な高さで区分しています。県内では、次の活動区間が最も高い区分(Sランク)にあります(2026年1月1日算定)。

この区分は、発生時期や個々の事業所の被害を予測するものではありません。国の評価の区分は、被害の大きさを意味しません。区分が低い断層でも地震は起こり、国は「ランク分けに関わらず、どの場所でも強い揺れに見舞われるおそれがある」と注記しています。自社の所在地と断層帯の位置関係は、県の被害想定と国のハザードマップで確かめてください。

断層の評価は定性表現で示しています。国(地震調査研究推進本部)は今後30年以内の地震発生確率が3%以上を「Sランク」と表記し、地震後経過率(前回の活動からの経過時間を平均活動間隔で割った値)が0.7以上の活断層には、ランクに「*」を付記しています。同じ表に載る琵琶湖西岸断層帯 北部区間は滋賀県、京都盆地-奈良盆地断層帯 南部区間は京都府・奈良県に位置するため除いています。出典: 地震調査研究推進本部「兵庫県の地震活動の特徴」(2026年1月1日算定)/同「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和8年1月14日現在)注3

自社で確認すること: 事業所・倉庫・従業員宅の耐震と設備の固定。そして早朝や夜間に起きたとき、誰がどう判断するか。

カード2: 南海トラフ地震・津波 —— 次は「海から」も来る

阪神・淡路は直下型でしたが、次に備えるべきは南海トラフです。県の想定では、神戸・阪神・播磨・淡路の4つの地域にも津波が及びます。その臨海部に製造と物流の機能が集積しています。

自社で確認すること: 沿岸の事業所・倉庫と、港湾への依存度。津波が到達するまでの避難と、岸壁・道路の長期の利用不能。

カード3: 豪雨・洪水・土砂 —— 六甲の山と市街地は近すぎる

六甲山系は市街地のすぐ背後にあり、豪雨のときは土砂・河川・内水・道路が同時に影響を受けます。震災のときも、六甲山地では約1,400箇所の山崩れが起きました。

2004年の台風23号では、円山川と出石川が決壊し、豊岡市で約8,300棟が浸水しました。豊岡市民の約9割にあたる4万2千人に避難指示が出ています。被害は但馬だけではありません。洲本(洲本川)、西脇(加古川)、西宮(武庫川)でも氾濫と決壊が起きました。一つの台風が、但馬・淡路・播磨・阪神を同時に襲ったのです。

自社で確認すること: 河川・内水・土砂のハザードと、拠点・在庫・車両・通勤経路の重なり。

カード4: 五つの地域、五つの止まり方 —— 兵庫は「小さな日本」

神戸・阪神(都市・港湾)、播磨(臨海製造)、但馬(豪雪・道路)、丹波(山間・土砂)、淡路(海上交通と橋への依存)。同じ県内で、停止の起点がまったく異なります。

台風23号が示したとおり、これらは同時に止まり得ます。本社が無事でも、営業所・協力会社・配送経路が別の地域で止まります。

自社で確認すること: 拠点・取引先・従業員を地図に置き、地域別に初動と代替経路を分けているか。

自社が無傷でも、事業は止まる

AIで生成したイメージ画像。山並みを背にしたコンテナ埠頭と貨物船。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

顧客は、待ってくれなかった

1995年、神戸港の外国貿易コンテナ貨物は前年の約半分に落ち込みました。船会社が釜山港などへ急遽シフトしたためです。震災から7年後の2002年になっても、コンテナ貨物は震災前の約3分の2にとどまりました。

止まっているあいだに、取引は「代替先」に移り、そこで最適化されます。復旧しても、戻る理由を示せなければ戻りません。

これは港だけの話ではありません。部品でも、加工でも、宿泊でも、御社の顧客にも代替先はあります。

自社が無事でも、仕入先・協力会社・顧客工場・港・道路のどれか一つで止まります。震災では道路・鉄道・港湾が同時に止まり、その復旧は月単位に及びました。被災を免れた企業も、部材・人員・出荷が細る期間を月単位で耐えることになったのです。

港には計画があります。使う側には

神戸港の港湾BCPは、直下型地震のときの目標をこう定めています。発災後数日以内に緊急物資の輸送ルートを確保し、続いてコンテナ物流の暫定的な輸送ルートを確保する。

港の暫定再開の目標は7日です。御社の在庫と資金は、何日分ありますか。

港の側には計画があります。使う側の御社には、どうでしょうか。

二つの読者へ

まだ計画がない方へ

TDBの兵庫県調査(2026年8月5日公表・調査は2026年5月18〜31日・県内740社中370社が回答)によると、BCPの策定率は19.2%でした。前年から3.4ポイント増えています。ただし全国平均の21.4%は下回り、未策定は42.7%です。

「策定意向あり」も46.0%で、全国平均の50.5%を下回ります。全国では、中小企業の策定率は18.3%で、大企業の39.9%とは20ポイント以上の差があります(2026年)。

兵庫県の数値は回答企業370社の割合であり、県内全企業の推計ではありません。

震災を経験した県でも、策定の意向は全国平均を下回ります。

TDBは、背景にスキル・人材・時間という経営資源の不足があり、意識の問題ではなく構造的な課題だと分析しています。

意識はあります。足りないのは資源です。最初の一歩として、BCP-AIで初版を作るところから始められます。

構造的な課題は、構造で解けます。

なお、国の事業継続力強化計画の県内累計認定は4,400件を超えています(令和8年7月末時点)。「認定を取って取引の信用に使う」動きは、県内ですでに始まっています。

計画はあるが、動くか不安な方へ

その計画は、午前5時46分に開けますか。

就業の前、停電の下、交通が止まった状態で、誰が最初の1時間に何をするのか。計画に書いてありますか。

兵庫県のBCP/BCM支援プログラムは、策定したあとの演習——状況付与型の机上演習と実動演習——まで無料で提供しています。県自身が「作って終わり」を最大の敵と見ている証拠です。

既存の計画を見直すときは、BCP-AIの再生成機能で初版を作り直せます。演習で見つかった穴を、計画へ反映してください。

兵庫の相談先

兵庫県 BCP/BCM支援プログラム(受講料無料)は、セミナー → 策定講座 → BCP/BCM実践講座、という段階式です。土日宿泊型(兵庫県広域防災センター・三木市)、観光と介護に特化した型、小規模企業者向けの半日型もあります。

兵庫県中小企業団体中央会では、BCP導入の個別相談、専門家の派遣、セミナーを行っています。

商工会・商工会議所、よろず支援拠点(ひょうご産業活性化センター)は、県内各地にある身近な相談窓口です。

BCP-AIは、これらの支援の「前」と「間」を埋める道具です。県の講座に持ち込む初版を、今日から。

事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。

AIで生成したイメージ画像。遮断機のあるゲートへ向かうコンテナトレーラー。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

経験を、次の世代に「計画」というかたちで渡しませんか。

BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。

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