首都直下のその日、埼玉の会社の「人」は、東京にいる。

埼玉県のBCP(事業継続計画)── 県内の災害リスクと、建物が無事でも事業が止まる経路を確かめるページです。

東京などで帰宅困難となる埼玉県民、約120万人(県想定)。揺れがあなたの建物を壊さなくても、事業は止まる。

埼玉県の想定では、東京湾北部を震源とする地震が平日の昼に起きた場合、東京などで帰宅困難となる埼玉県民は約120万人にのぼります。

鉄道が止まれば、従業員は当日帰れないだけではありません。翌日の出社も見通せない。責任者も、決裁者も、運転者も揃わない。

そしてこれは、仮定の話だけではありません。2019年の台風19号で、埼玉は「首都圏に近くても、人と道と店が戻らない」ことを、すでに経験しています。

埼玉のBCPは、「自社が被災したら」から始まりません。「人と道と取引先が止まったら」から始まります。

建物の耐震より先に、決めておくことがある。従業員が帰れない夜と、その翌朝のことだ。

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埼玉県のリスク全体像

首都直下地震 —— 最大の経営リスクは「揺れ」ではなく「人が動けないこと」

国の中央防災会議の想定(2005年)では、東京湾北部地震(M7.3・平日昼12時)で首都圏1都3県の帰宅困難者は約650万人、東京都内で約390万人とされています。県自身の想定では、東京などで帰宅困難となる埼玉県民は約120万人です。

県は企業に対し、従業員と来訪者の一時滞在、食料・飲料水・災害用トイレの備蓄、外出中の従業員の行動ルールをBCPに明記するよう求めています。基本は「むやみに移動を開始しない」。

一斉に徒歩で帰宅することは、本人の危険だけでなく、道路をふさぎ、救助と救援輸送を妨げ、翌日以降の人員確保を悪化させます。「早く帰す」は、正解ではありません。

広域水害 —— 利根川・荒川・中川の「多市町同時停止」

県は、想定最大規模の降雨による浸水区域と水深に加え、浸水深0.5m以上が続く時間と、家屋倒壊等氾濫想定区域を公表しています。県が管理する洪水予報・水位周知河川以外の河川についても、指定を終えています。

利根川水系では、さいたま市、熊谷市、川口市、加須市、春日部市、越谷市、三郷市など多数の市町が関係します。荒川・入間川流域では、さいたま市、川越市、戸田市、和光市など。中川・綾瀬川などは、県東部と県南部の低地です。

「自社の所在地のハザードマップを見る」では足りません。従業員の自宅、主要顧客、仕入先、倉庫、配送路を同じ地図に重ねて、はじめて「誰が来られないか」「どの納品が止まるか」が見えます。深さより、何日続くか。

実災害の記録 —— 2019年台風19号

県内の多くの観測所で既往最大の降雨を観測しました。荒川水系の複数の河川で堤防が決壊し、県内各地で浸水が発生。人的被害、土砂災害、ライフラインへの影響が生じました。

県は、この決壊の原因調査報告書(都幾川・新江川)を公開しています。これは仮想のシナリオではなく、県自身の記録です。

自社が無傷でも、埼玉の会社は止まる

AIで生成したイメージ画像。川の堤防沿いの道を走るトラックと物流倉庫。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

埼玉の停止経路は三つ。どれも、自社の建物被害を必要としません。

人が止まる —— 県境をまたぐ通勤

従業員は、東京や都内の客先、外出先で帰宅困難になります。約120万人の想定です。鉄道が止まれば、当日帰れないだけでなく、翌日の出社も見通せない。拠点が開いても、必要な人数、責任者、運転者が揃わなければ、業務は動きません。

第一手は「帰す」ではありません。一時滞在、安否確認、家族への連絡、そして翌日以降の在宅・時差・休業の判断です。

水と道が止まる —— 広域浸水型

2019年、県内の大型商業施設は、浸水により全館が臨時休業しました。建物と商品の多くは残っていました。それでも、店は開けられなかった。

県内の高齢者施設では、入居者が一時孤立し、その後、全員が救助されました。

従業員の自宅、配送路、顧客側の荷受けが浸水すれば、自社の拠点が無事でも、それは売上を意味しません。県内の小規模事業者では、設備や車両の損害により、休業や廃業に至った例も報じられています。

相手先が止まる —— 首都圏連鎖型

帝国データバンクの2025年埼玉県調査で、BCPを策定・検討している企業が想定するリスクは、自然災害66.8%、インフラの寸断45.1%、物流の混乱28.8%、取引先の被災26.6%でした。

仕入先が出せない。物流が運べない。顧客が受け取れない。検収、請求、入金が止まる。生産と在庫があるのに、売上にならない停止です。

首都圏の中にある「県内の代替拠点」は、同時に被災しえます。代替先は所在地ではなく、人、電力、通信、道路、顧客の受入、決裁の独立性で評価してください。

二つの読者へ

まだBCPをつくっていない会社へ

全国の策定率が上がった年に、埼玉は下がった。

帝国データバンクの2026年調査で、埼玉県内企業のBCP策定済みは16.4%。前年から0.8ポイント下がり、4年ぶりの低下です。同じ年、全国は21.4%でした。策定意向のある企業は46.9%で、全国の50.5%を下回ります。

県の調査(2025年12月時点・中小企業2,200社対象)では、策定済みと策定中を合わせて15.7%、策定の予定なしが42.5%。国の事業継続力強化計画の県内累計認定は4,600件を超えています(令和8年7月末時点)。

三つの数字は、対象、時点、定義が異なります。合算や比較はできません。認定件数は国制度の利用実績であり、策定率ではありません。

策定していない理由は、県の調査で「人的余裕なし」36.0%、「他の優先課題」33.3%、「資金的余裕なし」28.0%。帝国データバンクの2025年調査では、スキル・ノウハウ不足が46.3%でした。

埼玉県の数値は回答企業の割合(2026年調査は384社)であり、県内全企業の推計ではありません。

大部の計画書は要りません。埼玉で最初に要るのは、四つだけです。一時滞在と安否確認のルール。自社・従業員宅・取引先・配送路の1枚の地図。優先顧客、優先製品、代替連絡先。そして1時間・1日・3日の行動表。

最初の一歩として、BCP-AIで初版を作るところから始められます。

BCPは「ある」会社へ

その計画に、「従業員が東京から帰れない日」のページはありますか。

確認するのは三つです。帰宅困難、一時滞在、一斉帰宅の抑制が、就業ルールとして明文化されているか(県が企業に求める水準です)。従業員の自宅、取引先、配送路を、浸水想定の「深さ」と「継続時間」に重ねたことがあるか。顧客側の検収、荷受け、支払いが止まった場合の、資金と請求の代替手順があるか。

埼玉県で使える支援・制度

支援 内容
BCPアドバイザー無償派遣 県と埼玉県産業振興公社の連携により、事業継続力強化計画(単独・連携)の策定を無料で支援。オンライン・対面に対応
県BCPセミナー 県が県内中小企業向けにBCPセミナーを開催しています
彩の国BCPサポーター制度 損保・生保・金融機関などがサポーター登録し、県内中小企業のBCP普及・策定を支援する県の制度
既策定企業向け専門家派遣 災害想定の見直しなど、策定済み企業のブラッシュアップを専門家派遣で支援
事業継続力強化計画(国) 認定を受けた中小企業は、税制措置、金融支援、補助金審査上の加点などの支援を受けられます
商工会議所・商工会 さいたま商工会議所などが、BCP・事業継続力強化計画の策定をサポート

支援はあります。足りないのは時間と人手。だからこそ、最初のたたき台を最短でつくる。

事業継続力強化計画の認定や、補助金・融資などの可否は、各制度の要件と審査によります。BCP-AIで作成した計画がそれらを保証するものではありません。本ページの認定件数は、BCPを策定した企業の割合や利用者数とは別の数値です。

AIで生成したイメージ画像。線路沿いの事務所ビルと搬入口の小型トラック。
AIで生成したイメージ画像です(実在の風景ではありません)。

埼玉の地図とデータは、そろっている。あとは、あなたの会社の名前を入れるだけ。最初の行動表を、今日つくる。

一時滞在ルール、1枚の地図、代替連絡先、3日間の行動表。この四つを、初版に書き込んでください。

BCP-AIは、所在地や業種などの質問に答えるだけで、自社のBCP(事業継続計画)の初版を作成できます。

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